梅雨のじめじめした季節が近づき、暑くなってくると、お弁当やおにぎりの食中毒も気になります。
特におにぎりは素手で握ると菌が増えるとも言われていますね!
菌がついてしまった場合は何時間で増えてしまうのでしょうか。
原因や予防、対策についても見ていきましょう~。
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おにぎりを素手で握るのは本当に良くないの?
熱々の炊き立てご飯にちょっとの塩を混ぜ込んでぎゅっと握ったおにぎり。
最近では食中毒の主な原因がこのおにぎりである、とも言われています。
昔は素手で握るのが当たり前でしたが、最近はラップを使う人も増えてきましたね。
おにぎりを握る前には手をきれいに洗っておくことは大前提ですが、素手で握ったおにぎりが必ずしも食中毒になるわけではありません。
おにぎりを素手で握ると菌が何時間で増える?
人の皮膚や体には様々な菌が住みついています。ビフィズス菌など腸内に多くいることは知られていますが体の中ではなく皮膚上にも多く存在しています。
数でいうと皮膚には1兆個以上いるんだとか。
多すぎてよく分からない単位ですね。腸内にはその100倍とも1000倍もいるとも言われています。
人は菌と共存して生きていますので、すべての菌を殺菌してしまったら人も生きていられません。人を守ってくれる菌もたくさんいるのです。
そして、素手でおにぎりを握った場合にも出てくるのが皮膚に存在しているという「黄色ブドウ球菌」です。
通常では何の悪さもしない黄色ブドウ球菌は、素手でおにぎりを握った時に手からおにぎりへと菌が移ります。
そしてすぐに食べるには何の問題もないのですが、温度と時間によって黄色ブドウ球菌は急激に数を増やしていきます。
くらし科学研究所の研究結果によりますと、市販のレトルトご飯に黄色ブドウ球菌の培養液を接種し観察したところ、
●気温25度では16時間後
●気温35度では13時間後
食中毒となるだけの数値が出ていると発表されています。
しかし炎天下の中や車の中に数時間おいたおにぎりは、ものすごい高温となっていますので数時間で発生する可能性も十分にあります。
別の食品衛生アドバイザーによると、37度で6時間後には発生するとも発言しています。
やはり時間が経過することに加えて、温度の管理も重要です。
おにぎりを食べて食中毒となった時の症状
食べてから早くて30分後、時間がかかっても6時間以内に症状が現れ始めます。
主な症状は
●激しい吐き気や嘔吐
●下痢を伴う腹痛
が挙げられます。いわゆる食中毒の代表的な症状ですね。
黄色ブドウ球菌による食中毒の場合は、すべて体外に排出されれば症状は治まってくるので、とにかくつらくても下痢止め、吐き気止めの薬は飲まないで出し切りましょう。
また、その時は水分が一緒になくなっていますから水分補給も忘れずに行います。
水だけでは体の電解質のバランスも悪くなりますので、スポーツドリンクか経口補水液を飲むようにします。
経口補水液は塩分(電解質)の濃度が高いので体液とほぼ変わらない浸透圧で体内に吸収されます。
市販で保存できる経口補水液もありますので日ごろから備蓄しておくと良いですね。
一気に飲むのではなく、少しずつゆっくり飲みましょう。
おにぎりを素手で握ると菌が増える原因とは
手からおにぎりへと移った黄色ブドウ球菌は、それ自体が繁殖するときに「エントロキシン」という毒素を作ります。これが問題なのです。
黄色ブドウ球菌が口から体内に入っても悪い影響はないのですが、エントロキシンの毒素によって食中毒となってしまいます。
やっかいなのは、一度できてしまったエントロキシンは熱に強いため、加熱しても毒素がなくならないことです。
黄色ブドウ球菌は熱で殺菌されますが、エントロキシンは100度で30分加熱しても毒素が分解されなかったという結果も出ています。
ですのでそのおにぎりは何をしても毒素を除去することはできません。
しかしエントロキシンができてしまったおにぎりは、傷んだり腐ったりしたわけではないので味に変化がないので、気がつかずに食べてしまうことが多いんですね。
おにぎりを素手でも安全に作る予防や対策は?
素手でおにぎりを作る場合、菌がおにぎりに移ってしまうことは避けられません。
●おにぎりやお弁当は、できるだけ冷ましてからラップに包んだり蓋をするようにする。
●手や指に切り傷がある場合は直接食品には絶対に触れないようにする。
●できればビニール袋やラップ、使い捨てのビニール手袋を使用する。
●10度以下で保存する。
●持ち歩く時は保冷バッグに保冷剤を入れる。
●ご飯と炊く時に小さじ1杯程度の少量のお酢を一緒に入れて炊く。
「おにぎりは素手で握るのが一番!」と思うのであれば、握った後のおにぎりの温度が重要です。
握ったおにぎりを熱々のままアルミホイルやラップで包むと蒸気がこもって菌が増える環境をより作りやすくしてしまいます。
ある程度冷ましてから包むようにしましょう。
しかし「10度以下で保存する」と言われても、夏場は冷蔵庫以外に10度以下の場所なんてないです。
だからと言って作ったおにぎりを冷蔵庫に入れておくと…、それはもうパッサパサになります。
冷蔵庫に小分けして入れておいたご飯も固くてポロポロして、そのままでは食べられませんよね。
ですので、「おにぎりは素手!」派であっても、夏場の食中毒予防のためにはラップでおにぎりをお勧めします。
最初から手で触れないでおにぎりを握れば、そもそも黄色ブドウ球菌も移らないので増殖もしません。
増殖しなければ毒素となるエントロキシンもできないので、黄色ブドウ球菌による食中毒はかなり起きにくくなると言えます。
まったく素手で触れないように気をつけても、やはり少々の菌は混入するでしょう。
でも素手で握った時とは比べ物にならないくらい量を減らせます。
お弁当やおにぎりを持ち歩く時は保冷バッグに保冷剤を入れるということも小さいことですが温度管理には有効です。
要冷蔵のケーキやシュークリームを買ったときについてくる、小さな保冷剤を使用すればそんなに重くもなりません。
おにぎりは素手だと菌が何時間で増える?原因や予防対策を確認!のまとめ
今回はおにぎりを素手で握った場合の黄色ブドウ球菌による食中毒について見てきました。
厚生労働省の統計では、この食中毒が発生しやすいのは5月から8月です。
5月からとは意外な感じもしますが、運動会や遠足などお弁当を持って外で食べることが多いのが5月ですから、食中毒の可能性も高くなるのでしょうね。
6月は梅雨に入る湿度の高い時期ですから、引き続き食中毒の予防対策は必要です。
食中毒が原因による嘔吐や下痢は「出し切れば終わる」と分かっていても、その痛みやつらさに負けてしまいそうなほど苦しいですよね…。
特に子供や幼児は体が小さい分、少しの量でも食中毒となるだけの菌が入ってしまうかもしれませんし、嘔吐や下痢で脱水症状なども起こしかねません。
家で作る分にはしっかり気をつけて対策していれば防ぐことができますから、気をつけていきましょう~。